文化遺産の高度メディアコンテンツ化のための自動化手法
ご挨拶
研究代表者
東京大学
生産技術研究所(情報学環)教授
池内克史
本プロジェクトは、科学技術振興事業団戦略的研究推進事業(CREST)の研究領域 「高度メディア社会の生活情報技術」の研究課題として、平成11年度より5年間の計画でスタートしました。
本プロジェクトの目的は、鎌倉大仏など国宝級美術工芸品や建造物、 あるいは人間国宝の卓越した技といった後世に伝えるべき貴重な文化遺産を、 レーザスキャナや高精度デジタルカメラなどの最新デジタル機器を用いてデジタルコンテンツ化し、 高度メディアシステム上で永久保存する手法を開発することです。
近年では、このようなデジタルアーカイブの重要性が広く認識され、 実際にいくつかの文化遺産に関してはデジタル化が行われつつあります。 しかし現在これらの作業は主にオペレータの手作業により行われているため、 コンテンツ化のスピードも遅く、その開発コストは膨大なものになっていました。
そこで本プロジェクトでは、これら一連のコンテンツ化作業を自動化し、 多くの文化遺産を短期間に、安価にデジタルコンテンツ化する手法を開発することを目的としています。
具体的には,本研究プロジェクトは、
といった4要素からなり、それぞれ現在、東京大学,岡山大学,埼玉大学,電気通信大学と、 独立行政法人文化財研究所(東京文化財研究所)が協力して研究を推進しています。
- 距離センサーやテレビカメラからの部分情報を統合して建造物などの文化財の全体的な3次元形状を得る幾何情報取得の研究
- 色・艶といった文化財の表面反射特性等を得る光学情報取得の研究
- 複合的な見えを生成する文化財建造物や周辺の状況の光学条件をモデル化する環境情報取得の研究
- 建造物等の文化財に限らず,人間国宝のような匠の技の保存も目指す時系列情報取得の研究
このプロジェクトの成果により文化遺産のコンテンツ化を進めることで、
といった効果が期待されています。
- 紛失,焼失,後継者難による断絶といった危険にされされている文化遺産の高度メディア空間での永久保存
- 多くにユーザが、その自宅を離れることなく、文化遺産に日常的に接することができ、情報弱者の軽減につながり、社会全体に高度な満足が与えられる
本ホームページでは、鎌倉大仏、奈良大仏など、これまでにデジタル化に成功した多くの事例とともに、 本プロジェクトで得られた成果を紹介します。
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