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: SLSの3つのアルゴリズム : 認識図 : 目標レベルの分類

認識図の能力と限界

対象認識は,画像で始まり,対象の概形で終わるという逆さまの過程を経ている. 逆さまと一言でいっても,2種類存在する. これらは,変換手順 (TPs) と呼ばれ,1つ目は,より正確な仮定から,大まかな仮定を得るもの (ボトムアップ) とし, これに対し,2つ目は,大まかな仮定から,正確な仮定を得るもの (トップダウン) とする. 多くの場合,これらが混ざり合っている. ここで,唯一の制約は,認識図におけるSLSは,VPのライブラリーがループする要素を含んではならないということで, Aの仮定がBの仮定を含んでいるのに,その逆も成り立つということがあってはならない.

同様に,認識図は,仮定の相対的な長所に基づいた手法を表すことはできない. 元来のブラックボードシステムにおいては,あるレベルで,ナリッジソースを上位N個の仮定へ適用する. しかし,このような手法を認識図に用いることはできない. (これは,最短距離の分類が, それぞれの画像に対し,それぞれただ1つの目標レベルの仮定を証明する制約を課していることによる.)

SLSの手法は,実行時の仮定と,トレーニング時の仮定を比較する. 似かよった特徴を含んだトレーニング時の仮定が,正確に目標レベルの仮定を導く場合, その仮定はさらに追求され,その逆の場合は,拒否される. SLSの手法は,1つの画像からの仮定の相対的な長所に基づいているのではなく, トレーニング中の仮定の膨大な集まりを比較する場合の実行時の仮定の相対的な長所に基づいている.



SATO Yoshihiro 平成12年10月3日