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知識プリミティブ

GRUFFの入力形状についての推論の全ては、知識プリミティブのセットとして実装された手続き知識を使うことで実現された。それぞれの知識プリミティブは、形状、形態、あるいは因果関係に関していくつかのプリミティブ物理特性を代表する。それぞれの知識プリミティブは、その入力として形状記述の特定の部分を取り扱い、プリミティブのためのパラメータの値にそって、出力として0と1の間の評価測定値を返す。その評価測定値は、どれほどよく形状プリミティブがプリミティブの特定の命令文に合うかについての測定値を表す。0の評価測定値が、その物体が考慮中の機能のプリミティブを提供できないことを示す。プリミティブ物理特性が理想的に満足される、1の評価測定値が、物体が(別のプリミティブ物理特性の評価に依存している)物体カテゴリーに属するだろうことを示す。全体的な評価測定値は、全てのプリミティブ測定の組み合わせとして得られる。1の全体的な評価測定値が、物体が特定の物体カテゴリーの一つの理想的な機能例であることを示す。若干の知識プリミティブは範囲パラメータを含み、それは命令文において、最小、低い理想、高い理想、そして最大のように、指定される。これらのパラメータは、プリミティブの命令文のための評価測定値を計算するための、図6.5のような、台形のファジーメンバーシップ関数を定義するのに使われる。

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\epsfile{file=fig6-5.EPS,width=79mm}
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GRUFFによって使われた知識プリミティブは次である:

  1. 相対的な方向づけ
    (normal_one,normal_two,range_parameters)
    このプリミティブは、2面の法線normal_oneとnormal_twoの間の角度が、望ましい範囲に落ちるかどうかを決定する。このプリミティブは、変換(transformation)を計算するために使われ、望ましい方向に形状を位置づける(図6.6参照)。(プリミティブが形状を別の方向に向けるために使われる場合、1の測定値が常に返される。)

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  2. 寸法
    (shape_element,dimension_type,range_parameters)
    このプリミティブは、表面の次元(例えば、幅や奥行き)が指定した範囲に横たわるかどうかを決定するのに使われる(図6.7参照)。

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  3. 近接
    (proximity_type,shape_element_one,
    shape_element_two)
    このプリミティブは、上に、下に、近くに、のように形状プリミティブ間の質的な関係をチェックするために使われる(図6.8参照)。

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  4. すき間
    (object_description,clearance_volume)
    このプリミティブは、形状の特定の部分と比較して、ある位置において、障害のない自由な空間の指定された体積をチェックするために使われる。指定された体積は、クリアランス多面体によって定義される。一般に、このプリミティブの与えられた命令文のためのクリアランス多面体は、6面と8点の組で体積を指定する(図6.9参照)。

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  5. 安定性
    (shape,orientation,applied_force)
    このプリミティブは、補助面の上に置かれ、与えられた方向で(おそらくゼロの)力が加えられるとき、与えられた形状が安定していることをチェックするために使われる。形状は、均一の密度を持つと考えられ、その重心は直接計算される(図6.10参照)。

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  6. 囲い地
    (orientation,enclosing_plane)
    このプリミティブは、与えられた方向の補助面と平行に導入される一つの平面によって閉じることができる、くぼんだ状態が存在するかどうかを決定するために使われる。異なるレベルで、異なる体積をそれぞれ囲む無限数の平面が導入できるため、凹面を囲むことができるか確認できるだけでなく、囲むことができる最大の体積を見つけることが望まれる。このプリミティブは、もし囲むことができる凹面が与えられた方向で見つからなければ、0の評価測定値を返し、そうでなければ囲める凹面のリストと1の測定値を返す。

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最初の2つの知識プリミティブは、図6.5のように、4つの範囲のパラメータの組を持ち、プリミティブのためのファジーメンバーシップ関数の実装のために使われる。最後の4つの知識プリミティブは範囲パラメータを持たない。それらは、それらの評価測定値として0あるいは1を返す。



SATO Yoshihiro 平成12年10月26日