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: MIRACLE-IV の概略 : ロボ部屋輪講「SYMBOLIC VISUAL LEARNING」資料 Chapter : ロボ部屋輪講「SYMBOLIC VISUAL LEARNING」資料 Chapter

はじめに

この章では、MIRACLE-IV(Multiple Image Recognition system Aiming for Concept LEarning Intelligent Vision)と呼ばれる、開発中の視覚を用いた学 習システムを紹介する。MIRACLE-IV は、対象物体のモデルに関する事前の知 識を持つことなく、対象物体の一連のシルエット画像からその内部構造を獲得 することができる。一連の画像は単一の物体から得られるが、物体の形状は画 像毎に異なる。システムは、モデル獲得部(modeler)と画像処理決定部 (strategist)の2つからなる。物体の構造は蝶番(hinge)・滑り部(slide)・ 剛体(solid)の3つの組み合わせで構成されるとの前提の下で、モデル獲得部 は物体上の特徴の数とそれらの関係を獲得する。画像処理決定部は、蝶番や滑 り部といった機能を表す特徴を、(画像処理による)実画像上の特徴と関連付 ける。MIRACLE-IV では、物体のモデルと画像処理の戦略は固定されておらず、 既に獲得したものを拡張していく形で生成・更新されていく。

パターン認識とシンボル操作を統合しようという試みは人工知能における重要 な課題の1つである。この研究はその一環であるが、先行研究と次の点におい て異なる。他の研究では、パターン情報は前もって正しいシンボル情報に完全 に変換されているという仮定があったが、この研究では、シンボル操作のため に新たなパターン情報が必要になったときに、元画像はいつでも参照される。 このパターン情報とシンボル記述が相互に参照しあうことが、MIRACLE-IV の 他には見られない特色である。この章では、モデル獲得部がどのようにモデル を学習するか、画像処理決定部が画像処理の戦略をどのように決定していくか、 MIRACLE-IV が機能と画像上の特徴をどのように関連付けるかに付いて述べる。



SATO Yoshihiro 平成12年11月10日