距離に加えて色の情報を抽出する必要があるため、距離を計測した各点につい て同時に色も計測可能な特殊な構造化光スキャナーを構築した。一般の構造化 光スキャナーと同様に、計測のために対象には細いレーザーの縞が投影される。 しかし一般の物と異なり、レーザーがあたった全ての個所はつぎに白色光の縞 で照らされる。白色光からはレーザーほど鮮明なフォーカスが得られないため、 白色光の縞はレーザーの縞よりも太くなる。次にカラーカメラでレーザー光と 同じ個所を照らす白色光の縞を撮影し、距離と色の情報が入手する(Figure 2.4)。
三角測量の原理を用いて3次元の距離を計測([64]参照)した後、各点につい て適応化ウィンドウを用いて面の法線を計算する。次に、法線の非連続性を指 標に面のセグメンテーションを行う。MULTI-HASH では、([8]と同様に)ある 点から始めて近接する滑らかに連続する点を再帰的に取り込むことで面を拡張 していき、折れ目や断絶部分で停止する。2点間の断絶は次の判定で検出する。
は
の点の3次元座標
である。
(
はスキャン時の
番目の縞を表し、
はカメラの
番目のスキャン
ラインを指す)折れ目の検出をもう少しやっかいであり、下の式で判定される。
は、
の法線を表す。閾値は経験的に決定した。曲面が誤判
定されないように、crease_threshold には小さな値が選ばれる。1つの面領
域がそれ以上大きくならなくなると、新しい点が選ばれそこから新しい面領域
が構成されていく。Figure 2.4(d) がセグメンテーションされた結果の例であ
る。
面の外周を探索することで面を構成する辺と頂点を検出する。検出された面や 頂点は、モデルと同様に属性:値のペアで明示的に記述される。
面の形を分類する方法として、ここでは面を平面・円筒面・円錐面の3つに分 類する。まず、検出された面の各点に対して平面が当てられ、一致誤差がある 経験的な閾値よりも小さければ平面と判断される。それ以外の場合は、 Extended Gaussian Image (EGI) を用いて判定を行う。つまり、ガウス球上に 投影された法線の分布によって面の分類を行う。
![]() |
Figure 2.15 |
平面上の法線は、Figure 2.15(a) のように理想的には単位球の1点に射影さ れる。円筒面上の法線は、Figure 2.15(b) のように単位球の大円に射影され る。円錐面の場合は、Figure 2.15(c) のように単位球の半径が1より小さい 円に射影される。実際には、面全部が観測されることはないため、射影された 法線は完全な円ではなく円弧を成す。