この節では、トレーニングデータの不確かさのモデル化の結果と、構築された 決定木・ハッシュテーブルについて述べる。
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Figure 2.17 |
簡単のために、Figure 2.17(a) に、属性が2つ(赤成分・緑成分)の時の切
り取られたガウス分布で表した3つのモデルの
LFS を示す。は、実
際の赤い物体から得られたものであり、
は白い物体、
は木
の色の物体であり、3つの形状は同一である。それぞれの値は0から255の
値を取り、量子化の単位は1である。不確かさは、値の分布(ガウス分布)を
標準偏差の3倍で切り取った分布でモデル化した。
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Figure 2.18 |
Figure 2.17(b)は構築された決定木を、Figure 2.17(c)は対応するハッシュテー ブルを示す。このハッシュテーブルはエントロピー最小という観点から最適で
あり、最適化の条件から領域数が最も少なくなっている。Figure 2.18 は、少 し異なる分布を同様にパーティショニングしたものである。は赤、
は黄色、
はピンクの物体である。
次に、Figure 2.1 の物体をモデルとした場合の実験結果を示す。各 LFS のた めに集められたサンプルは14から44であり、異なるサンプルは物体を異な る姿勢をで観察している。Table 2.1 は、2つの LFS の各属性について、そ の生起確率分布がガウス分布・一様分布の各場合のパラメータを示す。
Table 2.2 は、ガウス分布でモデル化した場合に、決定木構築過程で各属性軸 がどのように分割されたかを示す。none とあるのは、その属性が決定木で用 いられなかったことを示す。
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Figure 2.19 |
Table 2.2 より作られたハッシュテーブルは、物体をランダムに配置した10 通りのシーンに対する物体認識に用いられた。10シーンの中の1つを、構造 化光に照らされた画像とセグメンテーション結果を示す画像とで表したものを Figure 2.19 に示す。
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Figure 2.20 |
セグメンテーション結果から、Figure 2.2 に示すように物体認識が行われる。 そして、1つの物体を認識したらそれをピューマロボットでつかみあげる実験 を行った。Figure 2.20 は、ロボットが最初に認識した物体を取り上げている 様子を示している。10シーン中7シーンで、1つの物体を認識しつかみあげ ることができた。残りの3つのシーンでは1つも物体を認識することができな かった。これは、セグメンテーションミスか、もしくは物体の頂点がセンサか ら見えなかったことが原因である。ここでは LFS は頂点を中心とした feature によって構成されるため、観測時に頂点が見えない場合には LFS を 構築することができず、認識が行われない。
Table 2.3 は、それぞれのシーンに対して生成された仮説(LFS)の数を今回の システムと以前に提案したシステム[24]とで比較した結果を示す。なお、発見 された全ての画像中の LFS に対して、対応するモデルの LFS が見つかってい る。また、ここでは LFS として頂点を中心とした特徴量を用いているが、こ れは 単なる実装上の選択であり、MULTI-HASH の制限ではない。